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江ノ島でもらった宝もの

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5月10日土曜日、深く関わることになった江ノ島(湘南港ヨットハウス)で竣工(完成)の内覧会に行ってきた。江ノ島大橋を歩いて渡り、白い屋根を目にした瞬間、この現場で関わった方たちの顔が次々と浮かんできた。谷津建設の栗原さん、増田さん、根本さん、高橋さん。構造のARUP徳渕さん。設計監理を担当されたヘルムの大西さん。型枠大工の古館さん、高鼻さん。測量の小林さん。鉄骨・道央建鉄の大西さん。ベースモデル作りをお願いしたアプリクラフトの中島さん。型枠作りで最後の最後まで一緒に格闘した堀江製罐の野村さん、武藤さん、武藤達哉さん。皆の顔が鮮明に焼き付いている。上の写真は、完成したヨットハウス全景。一年以上にわたり関わることになった建築現場が、ヘルム・谷津建設さんのタクトで見事な作品に仕上がっている。この美しいフォルムの陰には、ものづくりに賭ける純粋な眼差しがいくつもあったことをを心に止めたい。
今回完成したこの現場を通じて自分なりにひとつの手応えを感じている。それは4年前に横浜の大桟橋で見た時以来ずっと考えている、その解決法について。その現場でのハーモニー(調和)が鍵となる、というもの。特に作り手側の声(歌声)を旋律としてどのように組み込むかが重要なポイントとなる。これは私としては大きな発見だった。ただ、これはコンダクター(指揮者)のセンスに依るところが大きい。そこが、悩ましい。

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上の写真は、コンクリート木槌というもの。コンクリートを打設する時に、型枠の奥までキレイにコンクリートが流れ込むようにと人がコンコンと型枠をたたいて使う。そしてこの写真の木槌は、型枠職人の小西さんが私のために手作りで作ってくれた。
昨年12月12日の打設日当日。私は、少しでもコンクリートが廻るようにと近くにあった木の切れ端で型枠をたたいていた。そばにいた小西さんが、”ちょっと待ってな、いいの作ってやっから” と言って(キレのある岩手弁で)その場を離れたと思ったら5分後には戻ってきて ”おらよっ” と自分に手渡してくれた。
それを手にして、ヘルム(設計監理事務所)の西田所長さんと一緒に、気になるところを片っ端からコンコンとたたきながら廻った。そしたら、コンクリート打設の職人さんから肩たたかれて、”コンクリート充分廻っているからもういいよっ” て困った顔で言われてしまった。”美しくありたい” という気持ちは伝わっていたと思う。

どんなに時代がデジタルになろうとも、まさかの3Dプリンターで原寸大建築物が出来る世界が到来したとしても、最後は人の手でコンコンという感性が必ず必要となる。わたしはそう信じている。この写真の木槌は、その感性の象徴として大切にしたいと思う。もちろん、心の中の宝ものとしても。
小西さん、うれしかった。ありがとう。

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