- 2014-01-25 (土) 15:35
- しごと
国立競技場に行ってきた。
JIAに掲載された槇文彦さんのエッセイを読んで、どうしてもその場所を自分の眼で確かめたかったからだ。そのエッセイのタイトルは、「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」。素晴らしく筋道の通った論文だと強い印象を持った。槇さんは、”大きすぎる” と主張されている。
上の写真は、青山通り越しに絵画館を見渡したところ。両側の銀杏並木が美しい。
自分なりの ”新・国立競技場” スケールを携えて近付いてみる。
絵画館につきあたり、絵画館から少し左に顔を向けると国立競技場の照明塔が見える。この照明灯の最大高さが、40mちょっと。新国立競技場案は70mと言われている。圧倒的なスケールだ。
そして絵画館を左に流れてすこし歩くと、正面に国立競技場が見えてくる。ここで、”あれっ” と思う景色に遭遇する。左手に見えるのは、ゴルフ練習場。ごく普通の鉄骨にみどりのネット、どこにでもある練習場。んっ、風致地区だったはずじゃ。。景観が問題となって。。ちょっと戸惑う。そうか、槇さんの言う、「次第に絵画館に近づくにつれて失望に変わっていく」 とは、これもあってのことなのか。
スタジアム正面。ここまできて見上げると、新案のスケールの大きさを改めて感じ取ることができる。うーん、とにかくデカイ。
そのまま真っすぐ歩いて行くと、千駄ヶ谷駅手前左手に体育館。この写真の左に写っているのが槇さん設計の東京体育館。新国立競技場は、奥に見える照明塔高さ二倍近くのモンスターだ。これは見過ごせないだろうなーと、やっぱり思う。
ところで、文中に「ザハ・ハディドにとって今回のコンペは、毎年世界中のどこかで行われている国際コンペの一つ(one of them)にしか過ぎない。彼女の3Dモデリングのオペレーションの場として東京の神宮外苑もラゴスの郊外も設計対象としての差異はない。近接するJR線を無造作に飛び越えた提案に、その態度の一片がよく示されている。」とあるが、建築家とはそのような態度でコンペに挑むものなんだろうか。
ONE OF TEHM の意味、理解に苦しむ。
また、「東京のザハの案は最優秀案に選ばれただけでなく、見るものを元気づけるという賛辞までもらっている。おそらく彼女は苦笑していたに違いない。本当に苦笑したか否かは分からないが、もしも私が彼女の立場であったら苦笑したということである。」 ともある。この言葉は辛辣だ。
これは新・国立競技場案の骨格CGイメージ。(日本スポーツ振興センターWebサイトより)
この案を受け入れたコンペの審査委員長、安藤忠雄さんという方が、今改めて気になる。
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