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新たな時代の「結」という仕組み

秋吉 浩気さん率いる株式会社Vuild(ヴィルド)主催の「まれびとの家」内覧会(2019年9月7日)に行った時の話。
富山県南砺市の山の中、ほんとうに刺激的だった。

地場の資材(木材) x   伝統的な技法(合掌造り) x   デジタル(デジタルファブリケーション)= 融合した短期滞在形ゲストハウス

行くまでの道のりの険しさ(自分は富山側から登ってきたが、他に緩やかなルートがあるのか?)や、集落の規模、分散性などを実感しながら(痛感しながら)現場に向かっていくのだが、途中で不安になる。
「本当にここにあるのか?」と。
気になるのは、建築そのものの存在ではなく、”建築のその後”に対してだ。
上記の完結された方程式に、突っ込みどころが次々と湧いてくる。

スタッフの方に案内されて現場に行くと大勢の方達がすでに建物を取り囲んでいる。スタッフ、地元の方、メディアの方や議員さん(と思われる)、職人さんと多種多彩。

秋吉さんのガイドに促されて、建築内部に足を踏み入れてみる。

この建築資金の一部はクラウドファウンディングによって賄われているという。
出資者の熱量もこの建築物には宿っているのだろう。
秋吉さん、Vuildのスタッフはじめ多くの関係者の方々の本気度が建物を通して伝わってくる。
さっきまで心配していた ”突っ込みどころ” はもうどうでもいいと思える。

現場を後にして、近くにある五箇山の合掌造りの集落にも足を運んでみた。

多くの観光客が訪れており、外国からの方も多くいたようだ。
家々のはずれまで歩いていくと、広大な敷地の中にポツンと小屋がある。
近付いてみると、国の交付金による「資材倉庫」とある。



村の人たちが、共助・協働を柱として創られた「結」というシステム維持にこのようなモノが本当に必要なのか?漠然とした疑問がシャッターを押させる。


Wikipedia 「」 中部地方の合掌集落 より抜粋(—内)


日本の富山県五箇山から岐阜県白川郷合掌集落では、現在でも合掌造り茅葺屋根の葺き替えに結の制度が残っている。葺き替えは約30年-40年に一度行われ、それにかかる労力と費用は莫大なものである(単純に人件費を現代の価値に換算すると片面の葺き替えだけでも1千万円以上ともいう)が、これらは無報酬で行われた。

  • 葺き替えの手順はだいたい以下の通りである。
    • 作業の3年以上前から準備が始まる。
    • 屋根の面積から必要なの量と人員を概算する。
    • 作業の日取りを決め、集落を回り葺き替えをいついつ行うので手伝って欲しいと依頼する。
    • 予め作業に必要なだけの茅を刈って保存しておく(そのための「茅場」を確保してある)。
    • 役割分担を決める(茅を集める者、運ぶ者、茅を選別する者、縄などその他道具を準備する者など)。
    • 上記は専ら男性の作業である。女性は作業に従事した者達への食事、休息時の菓子、完成祝いの手土産の準備を行う。
    • 屋根の両面を同時に吹き替えることはほとんど無く、片面のみを2日間で仕上げる。
    • 1日あたり200人から300人の人手が必要となる。100人以上が屋根に登るさまは壮観である。

近年は過疎化第一次産業の衰退、高齢化などで結の維持が難しくなってきている。一方でナショナル・トラストや一般のボランティアが各地より集まり、葺き替え作業を共同で行うようになった。 なお、白川郷では結を行う組織を合力(コーリャク)と呼び、また結の範囲は屋根の葺き替えに限らず、代掻き田植え稲刈り草取り薪割り冠婚葬祭など生活全般に及ぶ。
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二つの合掌造りをつづけて訪れ感じたこと。
時代は変わる、新旧交代。
この同じ地でVuildが表明しているのは、新たな ”仕組み” のつくりかた。
新たな時代の「結」という仕組みづくりへのチャレンジではないだろうか。
彼等の情熱に敬意を表する。
やっちゃえ秋吉! やっちゃえVuild!!

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