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安藤忠雄さんのコンクリート

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岡山に出張に行く機会があった。 ”よしっ” と前乗りついでに直島に行ってみることにした。何年も前から行きたくて、なかなか行けなかった場所だったから。日曜のお昼前、宮浦港へフェリーで到着。この写真に写っている船着き場の建物が、SANAA設計の「海の駅なおしま」。海側からはほとんど存在感がなく、スッーとした感じだ。
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李禹煥美術館。安藤建築から一貫して伝わってくるのは、「自分で考えなさい」 というメッセージ。

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一泊を過ごしたベネッセハウスパーク棟。自分にとってはたまらなくおもしろい空間だった。

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パーク棟にあった外部の手摺り。ディティールの質が建築そのものや空間の質に直結すると私は思う。どれだけそこにこだわれるか。コストの壁を越えて。創る側も造る側も同じ。

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地中美術館、李禹煥美術館を見学したあと、30分ほど海岸線をずっと歩いている。風がとても冷たくなってきた。この写真は、日の入り直前に見たおだやかな瀬戸内の海。海の向こうには瀬戸大橋が。雲に隠れた太陽の光が、さざ波に反射して幻想的に写る。歩きながら、考えている。安藤さんは何を思いながら、この島をArtの島に仕立てようとしているのだろうかと。
この島に来てひとつ気になることがあった。島に着いてまっ先にANDO MUSEUM に行くことにしていた。それは、20年前に感じたあの身が震えるほどのコンクリートをまた見たくて。
1994年10月、大阪高槻市にあるサイトPCの現場に出張で出向く機会があった時、お昼ご飯を返上して茨木にある教会を見に行ったことがある。安藤忠雄さん設計の ”光の教会” だ。見たかったのは空間でなくコンクリート。お昼過ぎの誰もいない建物にだんだん近付いていくと、足がガクガクと震えてきた。今まで仕事を通じて知っていたコンクリートとは違う何かを感じた。それが何かはまったくわからなかった。自分もこんなコンクリートを造ってみたい、ただ素直にそう思った。その日の夜、梅田の安藤さんの事務所に行っていた。いっしょに仕事をさせてくださいとお願いをしに。もちろん叶うわけはないとわかっていながら。それは、自分にとってそれぐらいショッキングなことだった。
そして今日見た安藤忠雄さんの名を冠した ANDO MUSEUM のコンクリート。・・見なかったことに決めた。
建築は難しいものだとつくづく感じる。関わる人たちすべての魂が込められた時にだけ、作り得るものがある。あの時に見たものはそのようなものだったのかもしれない。自分は、20年前に見たあのコンクリートを追い続けて行きたい。

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