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港の建築 その対比

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このGWに横浜港と湘南港に足を運んだ。
その目的は、ふたつの建築物の対比。
横浜港にある大さん橋ターミナルと、江ノ島にあるヨットハウス。
私にとっては、自らに課した宿題の答えあわせ作業でもある。
5月3日、横浜港。早い時間に着いてゆっくりとすみずみまで歩いてみる。

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時間が早いので人影もまばらだ。
屋上フロアは貸し切り状態。
5月の海風はとても心地良い。

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2Fフロアに入ってみると、この上の写真にあるような箇所があちらこちらにある。
そう、鉄板のツギハギのこと。
この建築物を作った関係者たちの格闘が痕跡となり、その苦悩の大きさをうかがい知れる。

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どう考えても上の写真のような納まりが作り手の本意であるとは思えない。
何が原因でこのようなことが起きてしまうのか。
防ぐ手立てはなかったのか?
この場所にくると陰鬱な気分になるが、同時に自分を奮い立たたせる場所となっている。
必ず解決する方法があるはずだと、最初にこの場所を訪れて以来自らにその答えを課すのだ。

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桟橋を離れて街に出る。今日は、”ザよこはまパレード・開港記念みなと祭り“ が開催されていて人出がすごいことになっている。パレードを横目にランチして次の目的地、江ノ島に向かう。

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江ノ島でも多くの人が連休を楽しんでいた。

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江ノ島ヨットハウス。竣工してからは初めての訪問となり、とても楽しみにしていた。
工事中から反り立つマストをイメージさせるこのアングルがとても気に入っていて、ここにくるとまっ先に見上げる癖は変わらない。

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この建築のみどころの一つ。
先打ちコンクリートの構造躯体(耐力壁)と、後打ちコンクリート屋根スラブ&オープンビーム鉄骨+サッシのコラボレーション。
これらは3Dベースモデル設計・施工技術と各専門業者たちの製作技術の高さによるハーモニーである。
そして何より、そのハーモニーを醸し出した指揮者(ゼネコン)の存在が大きい。
この建築物は地場のゼネコン(谷津建設)によって作られたものだが、大手ゼネコンではないところは特筆すべき。一発勝負の建築の世界でここまでのクオリティを実現できたのはやっぱり凄いと思う。

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この写真2Fテラスでの屋根スラブの曲面による陰影の表現はなんともいえぬ味がある。時に吹き抜ける湘南の潮風とのマッチングは最高!

先の宿題の答え。
私は、設計者・デザイナー(創り手)はもっと作り手側の視点を持つ必要があるのと同様に、作り手側はクリエーター(創り手)の作法を知ることが重要であると考える。
そして、その作法を理解できればこの上ないが、理解できなくても先ず知ることが大事である。
少なくとも知ろうとする努力を怠ってはいけない。と私は考える。
創り手 vs 作り手 といった対立の構図ではなく、創り手 >=< 作り手 に双方歩み寄る調和の構図が出来ればこのような悲劇(溶接職人にとっては屈辱的ともいえる悲劇)は起こらないというのが、自らの宿題に対する私の答えである。
もちろん、業界の構造的(強固なピラミッド構造体)なシステムとしての問題が大きいことは承知しているが、あえてそこはスルーする。建築に関わる”人”が意識するしかないというのが結論である。
システムが建築を作るのではなく、”人”が建築を作るためにシステムを創造する。
そのため時には、垣根を越えて一歩踏み込む勇気をもつこと。
踏み込んだ先にこそ、新たな関係性を構築できる可能性があると思う。

これは、渡辺邦夫日曜学校で教わった一生徒としての、先生に対するアンサー・メソッド。

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